しいたけは、ビタミンやミネラル、食物繊維などを含む食品です。健康維持を意識した食生活の中で、しいたけを取り入れることについてもさまざまな研究が行われています。
その中の一つが、しいたけに含まれる成分と抗酸化作用の関係です。
私たちの体では、呼吸や運動などの生命活動によって活性酸素などが発生しています。活性酸素そのものは体にとって必要な働きもありますが、過剰な状態が続くと酸化ストレスにつながることがあります。
酸化ストレスは、加齢に伴う体の変化などとの関係が研究されているため、健康維持やアンチエイジングの研究でも注目されています。
しいたけの抗酸化作用は研究されている
しいたけについては、抽出物や多糖類を用いて、抗酸化作用を調べた研究があります。
例えば、しいたけから抽出した多糖類について、DPPHラジカルやABTSラジカルなどに対する作用や、脂質の酸化を抑える作用を調べた研究が報告されています。研究では、しいたけ由来の多糖類に抗酸化活性が確認されています。
また、日本食品科学工学会の学術誌に掲載された研究では、電子レンジ乾燥、オーブン乾燥、凍結乾燥、天日乾燥など、乾燥方法の違いによって、しいたけ抽出物の抗酸化特性に違いがみられることが報告されています。
このように、しいたけに含まれる成分に抗酸化作用がある可能性については、研究によって示されています。
では、しいたけを食べるとアンチエイジングになる?
ここは、研究結果を読むうえで分けて考える必要があります。
抗酸化作用を調べた研究には、しいたけから特定の成分を抽出し、その成分や抽出物を試験管内で調べたものがあります。
その結果から、
「しいたけの成分に抗酸化作用がある」
ということは分かっても、
「しいたけを食べれば、体内でも同じ抗酸化作用が得られ、老化を防ぐことができる」
とまでは言えません。
実際に食べた場合には、その成分がしいたけにどのくらい含まれているのか、調理によってどう変化するのか、体内でどのくらい吸収され、どのように働くのかなど、さまざまな要素が関係するためです。
ただし、試験管内での研究だから、実際の食生活とはまったく関係がないというわけでもありません。
こうした研究は、しいたけに含まれる成分がどのような働きを持つ可能性があるのかを知るための重要な手がかりになります。そこから、動物や人を対象とした研究が行われ、実際の食生活との関係が少しずつ明らかになっていきます。
つまり、現在分かっているのは、「しいたけに含まれる成分について抗酸化作用が研究されている」というところまでであり、通常の食事としてしいたけを食べることでアンチエイジング効果が得られることまで、直接確認されたわけではありません。
しいたけパウダーなら、たくさん摂ればよい?
しいたけパウダーも、基本的には同じように考える必要があります。
パウダーにすることで、しいたけを料理に加えやすくなりますが、たくさん摂取すればアンチエイジング効果が高まるという明確な根拠はありません。
健康のために大切なのは、一つの食品だけに期待することではなく、さまざまな食品をバランスよく食べることです。
しいたけパウダーは、味噌汁やスープ、炒め物など、普段の料理に加えることで、しいたけを食生活に取り入れやすくなります。
特別な量を一度に食べるのではなく、いつもの食事の中に無理なく取り入れるくらいに考えるのが自然でしょう。
アンチエイジングを考えるときに大切なこと
年齢を重ねても健やかに過ごすためには、特定の食品だけでなく、さまざまな食品を組み合わせた食生活、適度な運動、十分な睡眠など、日々の生活全体が大切です。
しいたけについても、研究によって興味深い成分や作用が見つかっています。
一方で、「研究で分かったこと」と「実際にしいたけを食べることで分かっていること」の間には、まだ分からない部分があります。
そのため、しいたけをアンチエイジングのための特別な食品として捉えるのではなく、栄養や風味を楽しみながら、健康を意識した毎日の食事に取り入れる食品の一つとして考えるのがよいでしょう。
研究が進むことで、しいたけと健康との関係について、これからさらに分かってくることもあるかもしれません。
参考文献
1.Lentinula edodes, a Novel Source of Polysaccharides with Antioxidant Power
Muñoz-Castiblanco T., Mejía-Giraldo J.C., Puertas-Mejía M.Á.
Antioxidants, 2022. DOI: 10.3390/antiox11091770
しいたけから抽出した多糖類について、活性酸素種への作用や抗酸化活性を調べた研究です。抽出された成分を対象とした研究であり、家庭で食べるしいたけそのものの効果を直接調べたものではありません。
Zhang Z., Lv G., Pan H., Wu Y., Fan L.
Food Science and Technology Research, 2009. DOI: 10.3136/fstr.15.547
電子レンジ乾燥、オーブン乾燥、凍結乾燥、天日乾燥などの違いによって、しいたけ抽出物の抗酸化特性やDPPHラジカル捕捉活性を比較した研究です。

