しいたけは、食物繊維を含む食品の一つです。腸内環境との関係についても、しいたけに含まれる食物繊維や多糖類を対象に、さまざまな研究が行われています。
腸活というと、ヨーグルトや乳酸菌などを思い浮かべる人も多いかもしれません。腸内環境を考えるうえでは、腸内細菌そのものだけでなく、腸内細菌が利用する食物繊維などの成分についても研究されています。
しいたけには食物繊維や多糖類が含まれており、その一部は消化されにくい性質を持っています。こうした成分が大腸まで届いた場合に、腸内細菌とどのように関係するのかが研究されています。
しいたけの成分と腸内細菌の関係は研究されている
実際に、しいたけ由来の食物繊維や多糖類を用いて、腸内細菌による発酵や、腸内細菌の構成への影響を調べた研究があります。
2024年に発表された研究では、しいたけから抽出した高分子多糖類について、人工的に再現した消化過程と、ヒトの糞便を用いた体外発酵試験が行われました。
その結果、この多糖類は消化過程を経た後に発酵され、発酵によって酪酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸が増加する可能性が示されています。また、腸管バリアとの関係についても調べられています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
また、2020年の研究では、しいたけ由来の水溶性食物繊維について、体外での大腸発酵や腸内細菌への影響が調べられています。食物繊維の構造によって、発酵のされ方や腸内細菌への影響が異なる可能性が示されています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
このように、しいたけに含まれる多糖類や食物繊維が、腸内細菌によって利用される可能性については、研究によって示されています。
では、しいたけパウダーを食べると腸活になる?
ここは、研究結果を読むときに分けて考える必要があります。
先ほどの研究で調べられているのは、しいたけそのものを人が食べた結果ではなく、しいたけから抽出した多糖類や食物繊維を使った体外試験です。
そのため、
「しいたけ由来の成分が腸内細菌によって利用される可能性がある」
ということと、
「しいたけパウダーを食べれば腸内環境が改善する」
ということは、同じ意味ではありません。
実際にしいたけを食べた場合には、食物繊維や多糖類がどのくらい含まれているのか、調理によってどう変化するのか、どの程度が大腸まで届くのか、さらに腸内細菌の個人差など、さまざまな要素が関係します。
ただし、体外での研究だから、実際の食生活とはまったく関係がないというわけでもありません。
こうした研究は、しいたけに含まれる成分が腸内細菌とどのように関係する可能性があるのかを知るための重要な手がかりになります。
さらに、人を対象とした研究などが積み重なることで、実際にしいたけを食べた場合にどのような影響があるのかが、少しずつ明らかになっていきます。
つまり現在分かっているのは、「しいたけ由来の食物繊維や多糖類が腸内細菌によって利用される可能性が研究で示されている」というところまでであり、しいたけパウダーを食べることで腸内環境が改善することまで直接確認されたわけではありません。
しいたけパウダーを腸活に取り入れるなら
しいたけパウダーは薬や整腸剤ではありません。
また、腸活のために特別な量を一度に摂取する必要もありません。
普段はしいたけを食べる機会が少ない場合でも、味噌汁やスープ、炒め物などに加えることで、しいたけを食生活に取り入れる方法の一つになります。
大切なのは、しいたけだけに頼るのではなく、野菜、豆類、海藻、穀類など、さまざまな食品から食物繊維を摂ることです。
しいたけパウダーは、腸活のための特別な食品というよりも、毎日の食事に食物繊維を含む食品を一つ加える方法の一つとして考えるのが自然でしょう。
少量でも、無理なく続けられること。
それが、しいたけを毎日の食事に取り入れるうえで大切なことの一つです。
まだ分かっていないこと
しいたけ由来の食物繊維や多糖類と腸内細菌との関係については、興味深い研究結果が報告されています。
一方で、「人が普段の食事としてしいたけやしいたけパウダーを食べた場合、腸内環境にどのような変化が起こるのか」については、まだ分かっていないことがあります。
また、腸内細菌の種類や食生活は人によって異なるため、同じ食品を食べても同じ結果になるとは限りません。
これから研究が進むことで、しいたけに含まれる成分と腸内環境との関係について、さらに分かってくることがあるかもしれません。
しいたけを特別な「腸活食品」として考えるのではなく、食物繊維を含む食品の一つとして、普段の食事に無理なく取り入れていく。
それが、現在分かっている研究結果から考えた、しいたけパウダーとの自然な付き合い方ではないでしょうか。
参考文献
1.Simulated human digestion and fermentation of a high-molecular weight polysaccharide from Lentinula edodes mushroom and protective effects on intestinal barrier
Li J.H. et al. Carbohydrate Polymers, 2024. DOI: 10.1016/j.carbpol.2024.122478
しいたけから抽出した多糖類について、人工的に再現した消化過程とヒト糞便を用いた発酵試験を行い、腸内細菌による発酵や短鎖脂肪酸の産生、腸管バリアとの関係を調べた研究です。
2.Structure characterization of soluble dietary fiber fractions from mushroom Lentinula edodes (Berk.) Pegler and the effects on fermentation and human gut microbiota in vitro
Food Research International, 2020. DOI: 10.1016/j.foodres.2019.108870
しいたけ由来の水溶性食物繊維について、消化後の大腸発酵や腸内細菌への影響を体外試験で調べた研究です。食物繊維の構造によって発酵のされ方や腸内細菌への影響が異なる可能性が示されています。
3.Lentinula edodes-derived polysaccharide rejuvenates mice in terms of immune responses and gut microbiota
Xu X., Yang J., Ning Z., Zhang X. Food & Function, 2015. DOI: 10.1039/C5FO00689A
しいたけ由来多糖類を高齢マウスに与え、免疫反応と腸内細菌の構成を調べた研究です。しいたけ由来成分と腸内環境との関係を研究した動物実験の一つですが、人がしいたけパウダーを食べた場合の効果を直接示したものではありません。


