生しいたけを乾燥させると、含まれている水分が大きく減り、保存しやすくなります。一方で、乾燥によって香りやうま味、食感も変化するため、単に「温度を上げて水分を飛ばせばよい」というものではありません。
では、しいたけを乾燥させると、実際にはどれくらい水分が減るのでしょうか。また、乾燥機では何℃で何時間乾燥させればよいのでしょうか。
ここでは、しいたけの乾燥について、水分が減る仕組みから乾燥機の使い方、仕上がりの確認方法まで、乾燥を効率よく進めるための基本的な考え方を紹介します。
しいたけを乾燥させると保存性が高まるのはなぜ?
乾燥すると、しいたけの水分はどれくらい減る?
生しいたけの大きな特徴のひとつが、多くの水分を含んでいることです。
これを乾燥させると、水分が大きく失われ、重量も大幅に減少します。
乾しいたけの仕上がり重量は、生しいたけのおおよそ10分の1になることがあります。
たとえば、生しいたけ20kgを乾燥させて2kgになったとすると、減った重量は18kgです。これは水分だけで考えれば、およそ18Lに相当します。
つまり、20kgのしいたけを乾燥させるということは、乾燥機の中から18Lもの水分を外へ出す作業とも考えられます。
この「大量の水分をどうやって乾燥機の外へ出すか」が、しいたけを効率よく乾燥させるうえで重要になります。
水分を減らすと微生物が増えにくくなる
食品が傷みやすい大きな理由のひとつが、水分です。
しいたけを乾燥させて水分を減らすと、カビや細菌などの微生物が活動しにくい状態になります。そのため、生しいたけに比べて保存性を高めることができます。
ただし、乾燥させれば絶対に傷まなくなるわけではありません。
乾燥後に湿気を吸って水分が増えると、保存性が低下したり、品質が変化したりする可能性があります。
そのため、しいたけの乾燥では「十分に乾かすこと」だけでなく、乾燥後に湿気を吸わせないことも重要です。
乾燥後も湿気を吸わせないことが重要
乾燥したしいたけは、周囲の湿度が高いと少しずつ水分を吸収します。
せっかく乾燥させても、保管中に湿気を吸ってしまえば、乾燥によって得られた保存性が損なわれてしまいます。
そのため、乾燥後はできるだけ湿気の入りにくい容器や袋に入れ、乾燥状態を維持することが大切です。
乾燥は「水分を減らして終わり」ではなく、「減らした水分を戻さない」ことまで含めて考える必要があります。
しいたけの乾燥は「温度を上げればよい」わけではない
乾燥初期はしいたけから大量の水分が出る
乾燥を始めたばかりのしいたけには、まだ大量の水分が残っています。
ここで温度を上げると、しいたけから水分が蒸発し、乾燥機の中の空気に水蒸気が増えていきます。
しかし、蒸発した水分を含んだ湿った空気が庫内に残ったままだと、その後の水分が蒸発しにくくなります。
つまり、温度を上げるだけでは、乾燥が効率よく進むとは限りません。
湿った空気が庫内に残ると乾燥しにくくなる
乾燥では、しいたけから水分を取り出して終わりではありません。
蒸発した水分を含む空気を乾燥機の外へ出し、新しい空気を取り込むことで、さらにしいたけから水分を蒸発させることができます。
反対に、湿った空気を庫内で循環させ続けると、空気が水分を受け取る余地が小さくなり、乾燥が進みにくくなります。
そのため、乾燥初期には「しいたけを温めること」だけでなく、「湿った空気を外へ出すこと」が重要になります。
乾燥初期は「温度」より「排気」が重要
乾燥初期のしいたけは水分が多いため、まずは蒸発した水分を乾燥機の外へ効率よく排出することが重要です。
言い換えると、
水分が多いときは「水分を外へ出す」ことを優先し、水分が減ってきたら「熱を利用して乾燥を進める」
という考え方です。
乾燥機の温度設定だけを見るのではなく、温度、排気、空気の流れを合わせて考える必要があります。
しいたけを効率よく乾燥させるには?
乾燥初期は湿った空気を外へ出す
乾燥初期は、しいたけから大量の水分が蒸発します。
そのため、乾燥機の中に湿った空気をため込まず、外へ排出することが重要です。
湿った空気を排出し、新しい空気を取り込むことで、しいたけからさらに水分を蒸発させやすくなります。
この段階では、「できるだけ高温にする」ことよりも、蒸発した水分を庫外へ逃がせる状態をつくることが乾燥を進めるポイントになります。
水分が減ったら温度を上げて乾燥を進める
しいたけの水分が減ってくると、乾燥初期ほど大量の水分が出なくなります。
この段階では、温度を利用して残った水分をさらに減らしていくことが重要になります。
つまり、乾燥工程全体を同じ条件で考えるのではなく、
乾燥初期:湿った空気を外へ出す
乾燥が進んだ後:熱を利用して水分をさらに減らす
というように、水分量の変化に合わせて考えることができます。
しいたけの量や厚さで乾燥時間は変わる
しいたけの乾燥時間は、温度だけで決まるものではありません。
乾燥させるしいたけの量や大きさ、厚さ、並べ方、乾燥機の構造などによって、乾燥の進み方は変わります。
特に、厚みのあるしいたけでは、表面が乾いていても内部には水分が残っていることがあります。
そのため、「○℃で○時間乾燥させれば完成」という条件を、すべてのしいたけにそのまま当てはめることはできません。
「何℃で何時間」だけでは乾燥を管理できない
しいたけの乾燥では、温度と時間は重要な条件ですが、それだけで乾燥状態を判断するのは難しいものです。
同じ温度、同じ時間で乾燥させても、しいたけの状態や投入量などによって仕上がりが変わることがあります。
そのため、乾燥条件を決めるときは、
- 乾燥機内の温度
- 排気や換気の状態
- しいたけから出る水分量
- しいたけの大きさや厚さ
- 乾燥後の硬さや割れ方
などを合わせて確認することが大切です。
乾燥機の設定値だけではなく、実際のしいたけがどのような状態になっているかを見ることが、乾燥を安定させるポイントになります。
乾燥しいたけの仕上がりを確認する方法
見た目だけでは乾燥状態を判断しにくい
しいたけの乾燥が進むと、表面は硬くなり、見た目にも乾燥した状態になります。
しかし、外側が乾いていても、内部に水分が残っていることがあります。
特に、厚みのあるしいたけでは、表面だけを見て「十分に乾燥した」と判断するのは難しくなります。
そのため、仕上がりを確認するときは、見た目だけでなく実際に割って内部の状態を見ることも重要です。
しいたけを割って内部の乾燥状態を確認する
乾燥状態を確認する方法のひとつが、しいたけを割って内部を見ることです。
外側と内部で硬さや水分の残り方に違いがないかを確認します。
特に厚みのあるしいたけは、外側だけが乾いていて内部に水分が残っていないかを確認することが重要です。
硬さや割れ方から乾燥状態を判断する
乾燥が進むにつれて、しいたけは柔らかい状態から硬い状態へ変化していきます。
さらに乾燥が進むと、手で割ったときの感覚や割れ方も変わってきます。
そのため、乾燥状態を確認するときには、
- 持ったときの硬さ
- 曲げたときの感覚
- 手で割ったときの割れ方
- 割った断面の状態
などを確認することができます。
乾燥状態を一定にするには、こうした感覚を自分の乾燥条件と結びつけて記録しておくことも役立ちます。
※しいたけの乾燥状態を「手で割った感覚」から判断する具体的な方法については、別のJournalで詳しく紹介します。
「干ししいたけ」と「乾ししいたけ」は何が違う?
「干ししいたけ」と「乾ししいたけ」の意味
「干ししいたけ」と「乾ししいたけ」は、どちらも乾燥させたしいたけを表す言葉として使われています。
「干す」は、日光や風などに当てて水分を抜くイメージが強く、「乾かす」は水分を取り除いて乾燥させるという意味合いがあります。
実際の商品名などでは、「干ししいたけ」「乾しいたけ」など、複数の表記が使われています。
「乾ししいたけ」は乾燥機による乾燥にも使われる
「乾ししいたけ」という表記は、乾燥機を使って乾燥させたしいたけにも使用されています。
ただし、「干し」と「乾し」の違いだけで、乾燥方法を厳密に区別できるわけではありません。
どちらも乾燥させたしいたけを表す言葉として使われています。
Mush takeでは「乾ししいたけ」と表記
Mush takeでは、乾燥機を使用してしいたけを乾燥させていることから、「乾ししいたけ」という表記を使用しています。
「干す」「乾かす」という言葉にはそれぞれのイメージがありますが、ここでは乾燥機を使って、しいたけの水分をしっかり取り除くという意味で「乾ししいたけ」としています。
まとめ|しいたけの乾燥は水分を「取り除く」ことが重要
しいたけの乾燥は、単に温度を上げて水分を飛ばすだけの作業ではありません。
乾燥によってしいたけの水分を大きく減らすことで、微生物が活動しにくくなり、保存性を高めることができます。
一方で、乾燥初期には大量の水分が蒸発するため、その水分を含んだ湿った空気を乾燥機の外へ出すことが重要になります。
そして水分が減ってきたら、熱を利用して残った水分をさらに減らしていきます。
しいたけの乾燥では、
「何℃で何時間」だけを見るのではなく、今どれくらい水分が残っていて、その水分をどう外へ出すかを考えること。
これが、乾燥を効率よく進め、安定した仕上がりにつなげるための基本的な考え方です。

